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WWFジャパンの当社に関する掲載記事について

当社は、WWFジャパンがウェブサイトに掲載した記事「APP社『森林保護方針』から5年 WWFからのアドバイザリー(勧告)」に対して、以下のような公開書簡を送付いたしました。




WWFジャパン
事務局長
筒井隆司 様



拝啓 初秋の候、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、2018年8月22日、WWFジャパンは「APP社『森林保護方針』から5年、WWFからのアドバイザリー(勧告)」と題する記事を貴方のウェブサイトに掲載されました。

WWFとAPPには森林保護という共通の目標があります。持続可能性を追求していく過程で、APPは長年にわたってWWFと建設的に関わってきました。過去5年間、APPはWWFを含む多数のNGOと継続的な協力を行い、当社の森林保護方針(FCP)について定期的に進捗状況を報告してきました。また、なにか過失があった場合には、APPのステークホルダー・ワーキング・グループやステークホルダー・アドバイザリー・フォーラムを通じ、問題に前向きに対処してきました。しかし、今回の貴方の記事では、こういった当社の取り組みは考慮されておらず、確証のない情報や一方的な引用に基づく根拠のない申し立てがなされており、残念に思っています。

WWFインドネシアは当社がこれまでに進展させてきた成果をよくご存じです。また、2013年に当社が導入した森林保護方針のような意欲的な方針を、林業部門で活動する企業が実際に行う際に直面する課題についても十分に承知しておられます。当社のFCPの進展状況については、『森林保護方針5周年記念報告書』をご覧ください。

FCPの主要な四本柱は、サプライチェーン内の自然林伐採中止、泥炭地の保護、地域社会の活性化、責任ある原料調達であり、これらは当社の事業活動の中心に組み込まれています。しかしながら、WWFジャパンの今回の記事はこうした現場での進展を意図的に無視し、事実を曲げて記述しています。

このため、今回の貴方の記事の主張のいくつかを訂正させていただきます。

APPが「約200万ヘクタールの自然林破壊に関与」しているという主張について

APPと原料供給会社は自然林を植林地に転換してきましたが、これは法律を完全に順守した上で行ってきたことです。30年前、当社はインドネシア政府から、インドネシアの紙パルプ産業に投資し、発展させてほしいという要請を受けました。当時、自然林の転換は禁止されておらず、高保護価値(HCV)や高炭素貯留(HCS)のある土地という概念はまだ存在していませんでした。

こうした事情にも拘わらず、WWFジャパンはAPPが200万ヘクタールを超える自然林を転換してきたと主張していますが、これは不正確であり、実際にはありえないことです。APPと原料供給会社は約250万ヘクタールの伐採権保有地を管理しています。そのうちの60万ヘクタールは保護価値が高い(HCV)または多くの炭素を貯留している(HCS)土地であると特定され、2013年以降、環境保護のために植林開発から除外されています。また、伐採権保有地の23%は地域コミュニティによる利用のために植林開発から除外されています。

開発除外地域のこの割合は、現在のインドネシアの森林規制が要求する割合を超えており、その結果、生産地として指定されているのは原料供給会社の伐採権保有地のおよそ半分の約130万ヘクタールのみです。当社が自然林の伐採を中止して森林保護方針(FCP)を立ち上げた2013年より前の自然林の転換を含めても、APPのすべての植林地が、保護価値の高い(HCV)や多くの炭素を貯留している(HCS)土地上にあると想定するのは、現実的ではありません。

2013年に森林保護方針を立ち上げたとき、当社は自然林の転換を根絶し、森林破壊と決別したサプライチェーンを維持することを誓約しました。いくつかの過ちはありましたが、これらは持続可能性監査機関やNGOステークホルダーに正式に報告され、その後に是正がなされており、APPが故意に森林破壊に加担したことはありません。

当社はWWFの申し立てを否定すると共に、当社の苦情処理メカニズムを通じて申し立ての証拠を提供していただけるようお願い申し上げます。ご提供いただいた証拠は第三者コンサルタントによる検証と監査を受け、ステークホルダー・アドバイザリー・フォーラム(年に2回開催され、WWFインドネシアが貢献してくださっている会議)で厳しく精査されることになります。

当社の企業構造について

APPの企業構造は不透明であり、代理人を使って森林破壊を行っているとする非難は事実に反しています。APPは言及された会社を所有も支配もしていないという明確な声明をすでに出しています。それでもなお、環境活動家や一部メディアによって、このような根拠のない非難が繰り返されているのです。こうした懸念に決定的に対処すべく、APPはインドネシアのすべての林産企業とAPPの間の実質的な関係――法的な関係、財務的な関係、それ以外の関係――を明らかにするための評価を開始しました。また、森林破壊に関与しているとされる企業や従業員とAPPとの関係についても評価が実施されます。四大監査機関の一社が行っているこの評価は年内に完了する予定であり、その結果はステークホルダーやその他の関係者に報告されます。


自然林再生の進展の遅れについて

WWFジャパンは、インドネシア各地の荒廃林100万ヘクタールを再生するという当社の誓約の進展の遅れを正しく指摘しておられます。この誓約を発表した後、当社は創設資金を提供してベランターラ基金を設立しました。この基金は、インドネシア各地の森林再生プロジェクトのために資金を求める複数のステークホルダーの組織です。民間企業と共同でこれほど大規模な環境保護取り組みが行われるのは、インドネシアで初めてのことでしたが、具体的な青写真があったわけではありません。私たちは試行錯誤で学んできたのです。もしWWFジャパンやWWFインドネシアが景観地域の再生に関する当社の誓約で進展を望んでおられるなら、ただ非難するのではなく、共に協力していただけるようお願いいたします。WWFをはじめ、ステークホルダーの皆様にご理解いただきたいのですが、持続可能な景観管理の推進に向けて全力で取り組む際には、当社の伐採権保有地の境界線を越えて活動しなければなりません。そうした中で、他の企業や地域コミュニティ、地域政府と力を合わせ、森林再生に向けたそれぞれの取り組みをひとつにまとめるのは非常に複雑な仕事です。ここで明確にしておきたいのは、森林再生はただ森林を元通りにすればいいというものではなく、森林の保護、復旧、地域共有林の設立を含む一連のプロセスだということです。繰り返しになりますが、当社の取り組みを進めていく上で、WWFのご経験と専門知識を拝借できましたら幸甚の至りです。

FSCとの関係断絶の解消について

FSC(森林管理協議会)との関係断絶の解消に向けた当社のロードマップの一時的な中断について、WWFジャパンはAPPを批判するものとして解釈しておられますが、FSCの発表に明記されているように、FSCが新たな包括的ロードマッププロセスを作成している間、当社のロードマッププロセスは一時的に中断されているに過ぎません。FSCの発表はこちらでご覧ください。森林破壊や企業構造に関するFSCの懸念に対処するため、APPはFSCとの関わりを継続し、FSC側の準備ができ次第、ロードマッププロセスを再開したいと考えています。

気候変動の抑制とすべての自然林転換の根絶に向けた取り組みの道のりは険しいものです。APPのような企業がNGOの非難の矛先になりやすいことは存じていますが、根拠のない、事実に反する記事を掲載しても、問題にまつわる多くの課題を解決する手助けとはなりません。

APPが森林保護方針を立ち上げ、インドネシアの森林景観を保護するという遠大な計画に着手してから5年半が経過しました。当社はこれからの道のりで多くの課題に遭遇することになるでしょう。また、目標を達成するには莫大な資源が必要であり、さらに時間もかかります。この取り組みは一私企業だけで実現できるものではなく、政府、NGO、地域コミュニティといった、さまざまなステークホルダーの皆様のご協力が不可欠です。
APPはNGOの皆様を未来の大切なパートナーととらえており、良好な関係を構築し、共に問題を解決していきたいと考えています。

インドネシアの熱帯雨林の保護と地球温暖化の抑制に向けて、WWFジャパンが当社と手を携えて協力してくださることを切に願っております。最後になりましたが、APPの環境取り組みについてさらに理解を深めていただけますよう、WWFジャパンの代表の方々に現地をご訪問いただけたら誠に幸いに存じます。

貴方のご返事をお待ちしております。


敬具


2018年9月5日


エイピーピー・ジャパン株式会社
代表取締役会長
タン・ウィ・シアン



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