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世界で最も希少な哺乳類の保護と繁殖を目的とした 新たなパートナーシップ

ウジュン・クロン国立公園とAPP社が
インドネシアのジャワサイの保護と生息数回復に向けた新たな取り組みを発表


ジャカルタ、2011年5月12日 –世界で最も希少な哺乳類として知られ、絶滅危惧種に指定されているジャワサイの最後の聖域といわれているウジュン・クロン国立公園とアジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(以下APP) は今週、ジャワサイの保護と生息数回復を目的とした基金を支援していく事で合意しました。
ウジュン・クロン国立公園のアグス・プリアムブディ氏とAPPの持続可能性担当役員であるアイダ・グリーンベリーの調印
ジャワ島最西部に位置するウジュン・クロン国立公園は、122,451ヘクタールの面積を持つ原生林と海洋保護区から成る、ジャワサイの数少ない生息地の一つとして知られています。ジャワサイはかつて最も生息数の多いアジアサイとして、インドネシア、インド、ミャンマー、タイ、マレーシア半島に生息していましたが、植民地時代の数百年に及ぶ狩猟によって、その数は激減しました。また10年前までは、希少価値の高い角を狙って貧困にあえぐインドネシアの地方住民による密猟などが頻繁に行われていた事も、ジャワサイの数を減らす要因となりました。現在は絶滅の危機に瀕し、ウジュン・クロン国立公園内に生息していると推定されている50頭ほどのジャワサイが、世界に生存する最後の個体群とされています。現在飼育されているジャワサイはいません。

インドネシアの林業省の協力もあり、ウジュン・クロン国立公園とAPPは、2007年に林業省が制定したインドネシア・サイ保護活動計画を支援する事で合意しました。自然保護局の局長であるダロリ氏がウジュン・クロン国立公園のアグス・プリアムブディ氏とAPPの持続可能性担当役員であるアイダ・グリーンベリーの調印に同席しました。

ウジュン・クロン国立公園とAPPの協調により、ウジュン・クロン国立公園は現存するジャワサイに対する保護の強化と、インドネシア・サイ保護活動計画の目的実現に大きく前進する事になります。新たなプログラムでは、現存するジャワサイの保護に向けて全体の環境を復旧、および保護するなどして改善するとともに、地域住民に対する施策を強化し、ジャワサイに対する意識を向上のための教育プログラムを通して、ジャワサイとその生息地を守る活動をしていきます。

「ジャワサイを救済する事は我々の重要な義務であり、この世界的にも希少で特別な動物の将来にわたる保護活動に参加してくれるAPPに敬意を表します。現在ある国立公園の環境を保護、および整備し、ジャワサイの生息数を2015年までに50%増やすために必要不可欠な新たな生息地を開拓するためには、政府関係機関と民間企業の協力が必要です」とプリアムブディ氏は述べています。

APPは、ジャワサイ保護のための戦略と行動プランのための5ヵ年プログラムに対する初期資金として、すでに30億インドネシアルピア(約30万米ドル)を提供しています。このプログラムの主な活動は、現存する生息数の保護、生息地の整備、地域住民との共生、研究などが挙げられます。APPはこれ以外にも同国立公園の敷地内のセキュリティを強化するパトロール部隊にも協力し、隠しカメラを使って現存するジャワサイのモニタリングを支援する予定です。

グリーンベリー氏は次のように語っています。「野生動物と生物多様性の保護は、地域の発展と教育と共に実施されなければなりません。我々が推し進めていくべきことは野生動物と、この地域に依存して歴史や文化を育み生計を立ててきた、辺境のインドネシア地域住民との共存であり、調和を促進することです。インドネシアの人々がより良い暮らしをしていけるような機会を提供すると同時に、ジャワサイ、並びにその他の絶滅危惧種の将来的な存続を確約できる環境を作るような協力体制を築いていくことが我々の目標です」

APPのジャワサイ保護への取り組みは2010年6月に結んだインドネシア・サイ財団とのパートナーシップから始まりました。林業省自然保護局の指示に従って、APPはウジュン・クロン国立公園やNGO、教育機関、地域行政などと協力してジャワサイを救うために早急にとるべき対策を究明する複数のステークホルダーによる作業グループを結成しました。こうした作業グループが今回の協力合意へと繋がったのです。

ウジュン・クロン国立公園について

インドネシア林業省によって管理されているウジュン・クロン公園は、インドネシアで初めて国立公園に指定され、1992年にUNESCOより世界遺産に登録されました。この地域はジャワで最も大きな低地熱帯雨林のひとつで、57種の希少な植物や35種の哺乳類を保護しています。公園内の絶滅危惧種や希少動物の中にはベンガルヤマネコ、テナガザル、シシオザル、ラングール、クロコダイル、キョン、ネズミジカ、そして野生の放牧牛の群れがいます。公園の周辺の海洋には、オオジャコガイ、クマノミ、エンゼルフィッシュ、ブダイ、木登りのできるトビハゼ、そして2メートルもの高さに水を吐き出して昆虫を捕るテッポウウオなどがいます。
2011年3月、公園内の隠しカメラのビデオに映った親と子供のジャワサイの様子が公開され、繁殖が確認されました。過去10年間、14のジャワサイの誕生が記録され、この中にメスの誕生の痕跡もあり、個体数を増やし続ける助けにつなるでしょう。

APPについて

APPは、インダ・キアット紙パルプ会社、ピンド・デリ紙パルプ会社、チウィ・キミア製紙会社、ロンター・パピルス紙パルプ会社、エカマス・フォルトゥナ、ユニヴィーナスなど、インドネシアにある多くの工場で生産されている紙製品の総合ブランドです。インドネシアに本社を置くAPPは、120ヶ国以上の国々で製品を販売しています。APPの生産設備の大部分はLEIとPEFCによるCoC(加工・流通過程)認証を取得しています。

APPは、多くの大規模保護活動を支援しています。この中には、リアウ州にある17万2000ヘクタールのギアム・シアク・ケチル-ブキット・バツ生物圏保護区、同じくリアウ州にある10万6000へクタールのセネピス・スマトラトラ保護区、そして1万6,400ヘクタールのジャンビ州タマン・ラジャ自然保護区があります。他にもAPPが参加する野生動物保護活動には、カリマンタンのクタイ・オランウータン・プログラム、スマトラトラ保護基金(YPHS)があります。

※PDF版はコチラをご参照ください。



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