製紙メーカー APP > 環境・社会への取り組み(CSR) > CSRニュース > インドネシアにおける森林火災と煙害に関するFAQ(よくあるご質問と回答)

インドネシアにおける森林火災と煙害に関するFAQ(よくあるご質問と回答)


森林火災は経済や環境に損害を与えますが、もっとも重要な点は人々の生活を損なうということです。これは決して受け入れられるものではありません。
APPは明確な方針を掲げ、土地の火入れを行わず、火災発生に関与したサプライヤーとは取引契約を解除しています。
森林火災はAPPにとっても大きな脅威です。植林木パルプ材の供給に依存する企業として、整地を行うために火災を起こしていては採算が合いません。森林火災は植林木を損い、当社もすでに大きな損失を被っています。
当社は乾季になる前から、サプライヤーと共にコンセッション地域全体で森林火災防止対策を講じてきました。しかし、今年のエル・ニーニョ現象は1996/1997年以来最悪と言われており、火災対策はさらに難しさを増しています。
APPは森林火災に関する情報開示に全力を尽くしています。たとえ、この透明性があることゆえにさらに調査を受けることが頻繁にあるとしても、当該地域における森林火災や煙害の問題に効果的に取り組むために実施しなければならないと考えています。インドネシアやシンガポールの他、広範囲におよぶ各地域の関係ステークホルダーと共に、煙害問題の解決策に協力することをAPPは誓約しています。
森林火災と煙害の問題について、APPが頻繁に受領するご質問とその回答(FAQ)について以下に記します:

Q1. APPは整地に際して火を使っていますか?
答え) いいえ。
APPの全サプライヤーは整地に際して火を使っていません。APPは1996年以降、「火入れ禁止方針(No Burning Policy」を実施しており、この方針はサプライチェーン全体で施行されています。また、APPのサプライヤーは二度と自然林の開拓を行わず、既存の植林地以外では収穫を行わないとする内容(「自然林伐採ゼロ方針(Zero Deforestation)」)を含んだ「森林保護方針(Forest Conservation Policy: FCP)」(2013年2月発行)によって、火を使わないという同方針はさらに強固なものになりました。
FCPの実施状況は、The Forest Trust、地元NGO、研究者、政府機関からなるIndependent Observer(独立した監視機関)や、グリーンピースといった第三者機関によって厳しく監視されています。また、FCPにある苦情処理の仕組みにより、FCPの実施状況についてレインフォレスト・アライアンスによる検証も受けています。こうした第三者機関のFCP実施状況に関する報告書は、APPのウェブサイトwww.fcpmonitoring.comでご覧いただけます。
土地に火を入れることは、APPのサプライヤーにとって経済的に無意味であると同時に、既存の植林地を危険にさらすことにもなります。紙パルプ事業者であるAPPは紙・パルプの生産のために原材料である木材を必要としており、APPのサプライヤーもまた収益を上げるために木材を必要としています。
実際、今年の森林火災においては、植林木の損傷により当社は大きな損失を被りました。APPはまた、自然林を保護することを誓約しています。焼失した自然林保護地域は、いずれ自然林を再生させる必要があります。

Q2. サプライヤーが植林地に転換するために、未開発地域に火を入れたという可能性はありませんか?
答え)APPは「森林保護方針(FCP)」に基づいて、自然林保護地域を再生させることを誓約しています。APPのサプライヤーのコンセッション(管理地)内の未開発地域が焼失した場合は、その地域を再び自然林に戻すことを誓約しています。森林再生には莫大な費用がかかります――結局はもう一度再生させることになるのに、森林をわざわざ焼き払う理由はまったくありません。

Q3. 植林地の火災を防ぐために、どんな対策を講じてきましたか?
答え)APPは森林火災を防ぐために数々の対策を講じてきました:
● 全サプライヤーが「標準作業手順書(SOP)」や「火災管理ガイドライン」を用いて火入れ禁止方針を実施しており、火を使った整地を固く禁じています。
● APPのサプライヤーは、火の見やぐら(大半は監視カメラを装備)、気象衛星NOAAに加えMODIS(光学センサー)を搭載したTERRA/AQUAなどの衛星、ヘリコプターによるパトロール、監視用ドローン、Global Forest Watch(WRI)によるSMS警報などを活用し、ホットスポット(火災頻発地区)や火災発生箇所の監視を毎日実施しています。
● コンセッション(管理地)内や周辺の地域コミュニティを対象とした、森林保護、火災の危険性、火の不使用に関する教育およびトレーニングも実施しています。この教育およびトレーニングプログラムは、特に森林火災頻発地帯で年間を通じて実施されています。
● 地域コミュニティに対する「防火意識向上(Masyarakat Peduli Api/MPA)プログラム」においては、地域コミュニティと協働で、火災の監視、パトロール、早期鎮火に関するトレーニングを行っています。APPのサプライヤーは現在までに、220の村落のMPAメンバー2,600名に対してこのトレーニングを実施しています。
● APPのサプライヤーは監視対象地域の優先順位を特定する「森林に対する脅威の地図化(マッピング)」を行っています。火災は紛争地域で発生することが多いため、この地図には地域コミュニティとの土地紛争に関する情報も掲載されています。またAPPのサプライヤーは、本マッピングで特定された課題に取り組むために、行動計画を策定しています。
● 違法伐採、不法侵入、火入れによる整地などの違法行為が確認された場合、APPのサプライヤーは関係当局に報告してさらなる対策を講じています。(http://jambi.tribunnews.com/2015/09/01/9-orang-ditangkap-bakar-lahan-konservasi-pt-wks
● 泥炭地域における火災のリスクを軽減するため、現地の用水路をせき止めて土壌の水位を保ち、泥炭地のベストプラクティスを実施しています(http://news.mongabay.com/2015/08/app-to-clear-plantations-to-restore-peatlands/)
● APPは泥炭地上にある約7,000ヘクタールの植林地の操業を停止し、自然林に戻すことを誓約しています。

Q4. では、なぜ植林地内部で火災が起きるのでしょうか?
答え)森林に関わる企業の植林地は隣接しており、植林地から植林地へとすぐに延焼するため、火災の原因を引き起こした当事者の特定は容易なことではありません。
くわえて、火災は地域コミュニティの権利や零細事業者による違法行為、土地利用権、境界線、所有権や保護など様々な問題をはらんだ複雑な問題であり、その解決には森林関係産業にかかわる全ステークホルダーが森林火災の解決策を模索し、効果的に対処していく必要があります。
Global Forest Watchによる火災の分析(2015年7月1日から10月8日まで)
上記図(Figure 7)のとおり、パルプ材植林地(APPのサプライヤーもここに含まれる)はスマトラ島とカリマンタン島で発生した火災警報の16%を占めている。  詳細は下記URLをご覧ください:http://fires.globalforestwatch.org

Q5. APPは植林地内での火災を鎮火するためにどのような取り組みを実施していますか?
答え)APPおよびAPPのサプライヤーは、地域コミュニティ、軍隊、行政機関と協働し、迅速に鎮火作業にあたる数千の消防隊員を配備しています。これらの消防隊員は防火線をひき、延焼防止の取り組みを行っています。
APPは2,900名の消防隊員のほか、消火ヘリコプター、Global Forest Watchによる衛星モニタリング、監視用ドローンなどの防火体制を有しています。さらに、APPは220の村落で2,600名以上を対象にした防災トレーニングを実施し、必要な器具備品を提供するなど、地域コミュニティが自主的に森林火災管理に取り組めるよう体制構築の支援を行っています。

Q6. 今期、消火活動にいくらの予算を準備していますか?
答え)APPは防火に注力しており、「火入れ禁止方針」や「自然林伐採ゼロ方針」により、景観レベルの森林および泥炭地管理を遂行しています。自然林伐採ゼロ方針導入後の3年間で、APPは2億米ドル近くを投資しました。
広域防火戦略に沿って火災の検知と対応に講じるため、APPはこれまで消火ヘリコプターや衛星モニタリング、Global Forest Watchによる現場チームへのSMS通知、監視用ドローン、2,900名の消防隊員を擁する消防隊の配備など、防火に特化した投資を行ってきました。しかしながら、前述の投資はこれとは別に追加で行われたものです。さらに、APPの地域コミュニティー・プログラムでは、220の村落の2,600名を対象に森林火災管理に関するトレーニングが実施され、消火用器具が提供されています。

Q7. 今回の森林火災の責任当事者は誰ですか?
答え)「Political Economy of Fire (火災の政治経済学)」研究の一環として行われているWRI(世界資源研究所)、特にCIFOR(国際林業研究センター)による分析は、森林火災問題の複雑性について指摘しています。調査によれば、発火原因の大半は「焼畑」農業や農業用地を開拓しようとする小規模事業者による火入れによるもので、このデータはこれまで植林地およびその近隣での消火活動に当たってきたAPPの経験とも合致します。

Q8. APPのサプライヤーが森林火災の件で国際社会から有罪判決を受けた場合、どう対処するつもりですか?
答え)万一、APPのサプライヤーが森林火災発生の責任当事者として関与していたことが判明した場合、APPはそのサプライヤーとの関係を一切断つという明確な方針を設けています。現在、APPのサプライヤーが森林火災に関与したという証拠は一切入手できておらず、関係当局の捜査が終了するまでこれについての判断をくだすのは早計と考えます。

Q9. 森林火災、煙害についてAPPの関与を指摘する様々なニュースについて、どう対処するつもりでしょうか?
答え)森林火災は非常に複雑な問題であり、現在シンガポール、インドネシア両政府ならびに関係当局が調査を行っています。APPは関係ステークホルダーがなぜ迅速な対応を求めているのかを理解しており、APPも同様の危機感をもっています。しかし本問題の取り組みに際しては、正確な情報を把握することが同じくらい重要と考えています。APPはNGO、消費者団体およびメディア等の影響力を持つ機関が、APPとともに問題解決に当たって頂けることを希望しています。

Q10. シンガポール政府の国家環境庁はAPPに対して、「越境煙害法(Transboundary Haze Pollution Act」に基づく情報開示を求めていますが、現在の状況はどうなっていますか?
答え)APPはシンガポール国家環境庁(NEA)からの「通知」に速やかに対応し、期日(10月2日)までに回答を行っています。さらに、APPはNEA当局の関係者によるインドネシア事業所の視察を受け入れ、火入れ禁止方針(1996年より施行)と鎮火に向けた取り組みを見ていただきました。

Q11. 森林火災および煙害問題に関するAPPの今後の対応を教えてください。
答え)APPはインドネシア、シンガポールそしてその他すべての地域の関係当局と協力して、事態の鎮静化に努めて参ります。



PAGETOP