製紙メーカー APP > 環境・社会への取り組み(CSR) > CSRニュース > アイズ・オン・ザ・フォレスト(EoF)による報告書「APPはスマトラ島のユネスコ生物圏保護区のHCV地域を開拓しパルプ植林地を拡大」に対するアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)シナルマスの反対声明

APPはインドネシアの自然林保護に努力を続けるEoFに敬意を表するとともに、アララ・アバディ社及びスカト・プラタマ・マクムル社の運営に関して提起された2つの疑義に対し、説明する機会を頂戴したことに感謝いたします。

この報告書は過去の疑義を繰り返し主張しており、下記の公式声明によって回答済みです。

APPはいかなるサプライヤーの伐採権保有地でも、森林破壊は行われていないと確信しています。2017年より国際情報通信企業であるMDA社と協力し、APPはサプライヤーが管理する全ての保護された森林の被覆状況をほぼリアルタイムでモニタリングしています。MDA社の高度且つ正確な衛星監視技術は、解像度5.0m付近まで微細な森林被覆の変化を捉えることが可能で、保護地域への侵入に関する詳細で効果的なデータが提供されます。そのモニタリングダッシュボードは、APPのサステナビリティ・ウェブサイトで公開されています。警報情報の信頼性については、2021年よりアーネスト・アンド・ヤング社に監査を依頼しています。その監査サマリーも、モニタリングダッシュボードで公開されています。

APPは、「持続可能な総合森林管理計画(ISFMP)」に従って伐採権保有地を運営しています。ISFMPは、取集蓄積されたデータや、高保護価値(HCV)、高炭素貯蓄(HCS)、社会紛争調査、社会的影響調査、泥炭地の管理、収量と歩留まりといった各種調査と評価によって集められた提案、関連する法的要求事項、および地域住民、政府、専門家、市民団体などあらゆるステークホルダーが参加するISFMPワーキンググループにおける助言を基に、長年の協力過程を通じて策定されたものです。

アララ・アバディ社の事例

これらの事例を調査する際に、EoFによって提供されたGPS座標を使用し、これを私たちの詳細な作業計画(RKU-RKT)に重ね合わせました。この作業計画は毎年インドネシア当局による承認を受けており、伐採権保有地の境界、保護地域(HCS、HCV、または他の保護地域)の位置、および許可された地域内での活動計画を含んでいます。

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EoFの報告書内に掲載された地図



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APPの記録による地図



GPSデータに基づき、対象地域が植林事業区内に位置し、全ての作業はISFMPに準拠していることが確認できます。この地域は赤字で表示されている保護された保全地域には含まれていません。EoF調査も問題の地域が自然林を含んでいないことを確認しています。植林地域で成長しすぎた木を切り倒すことは、森林破壊ではありません。また、EoFはHCV1、特にHCV1.2およびHCV1.3として指定されている地域を正確に識別しています。これは2014年にアララ・アバディ社の依頼によって行われたHCV評価の一部で、地域内およびその周辺にスマトラゾウが生息することから、そのような分類となりました。HCV評価レポートの写しはサステナビリティ・ダッシュボードに掲載されています。

しかしながら、EoFはHCVの価値および機能が損なわれないことを条件に、そのような地域で林業活動が許容されていることにあえて言及していません。この様な地域での活動には、ゾウの保護とその分布モニタリング、労働者に対する野生生物との衝突を避ける訓練を確実に行うこと、ゾウの行きかう地点に警告標識を設置することを含む、特別な高保全価値管理地域(HCVMA)の実践が必要です。アララ・アバディ社の有効な植林地の大半を覆うこのHCV地域の価値と機能を維持するための方策は、非常に前向きな成果を示しています。この地域のゾウの個体群をモニタリングすると、個体数は安定していることが示されており、2021年には300頭近くのゾウが植林地と保護地区を通過したことが記録されています。HCVMA実践の一環としてのゾウの個体群のモニタリングは、APPの年次サステナビリティ報告書および最近のステークホルダー・アドバイザリー・フォーラム2022でも報告されています。モニタリング結果はこのHCV地域の価値と機能が維持され、改善されたことを示しており、植林活動にも関わらず、それがゾウや他の動物にとっても生息しやすい環境への変化につながったことを示しています。

一方で、人間と野生生物の衝突という別の問題に対し、APPはサプライヤーやBKSDA、アースワーム財団、インドネシア・ゾウ保全フォーラムといったパートナーと緊密に連携し、密猟阻止活動や、労働者や地域住民に向けたゾウの保護の重要性を伝える奉仕活動を実施しています。

最後に、EoFは報告書の最後でアララ・アバディ社が伐採権保有地の境界線を越えて、RAPP社の伐採権保有地に向かって伐採と開発を進めていると記載しています。事実として、2017年以来、私たちは競合する地図の存在を認識しており、いくつかの地域コミュニティがその一部の地域の使用権を主張しています。また、このことは2013年に実施された土地紛争マッピングにも含まれています。我々はRAPP社と一連の会合を行い、最終的に政府による法的境界設定に基づき、該当地域がアララ・アバディ社の土地の一部である旨、認識されました。また、この地域は植林地域として指定されています。2014年に実施されたHCV評価で、この地域は保護地域として特定されていません。上記の境界問題は、アララ・アバディ社と地域コミュニティ間で直近に交わされたパートナーシップ協定によって解決され、2021年9月末以降の植林地開発が可能となったばかりです。EoFの指摘とは対照に、保護された自然林は転換されておらず、この地域での植林はHCV基準の下で許可されており、HCVMA実践の好事例としてゾウの生息範囲を改善させることに有効であることが示されています。

スカト・プラタマ・マクムル社の事例

同じくEoF報告書で指摘を受けた、スカト・プラタマ・マクムル社による深さ4mを超える泥炭地での自然林伐採について、その疑義を調査しました。

詳細な作業計画地図をEoFが掲載する座標上に重ね合わせることによって、問題の地域は保護された森林に接する生産エリアの一部で、自然林には及んでいないことを確認しています。

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EoFの報告書内で掲載された地図



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APPの記録による地図



該当の地域は2021年の航空写真でよりはっきり撮影されており、この地域は低木で覆われている土地が広大な区域に散在していることが明確に映し出されています。

APPは泥炭の専門家であるDeltares社と共に、全てのサプライヤーの伐採権保有地について、植林地と保全地域を含む包括的なLiDARマッピングを実施しました。

最新のマッピングは2018年に行われ、高精度の泥炭地図が作成されました。そのデータは環境林業省(KLHK)と共有されています。このデータを使用して、保全すべき泥炭ドームと、それらの泥炭ドームを保護するために閉鎖すべき植林地エリアをより正確に特定することができます。公表されている泥炭地図は最新ではなく、故に大規模な土地認識の誤りや混乱が起き、私たちはそれに直面しています。

最新のLiDARマップに基づくと、スカト・プラタマ・マクムル社が指摘された地域には、保全すべき泥炭ドームは含まれていません。しかしこの地域は依然として泥炭地であり、最善の方法で管理されなければなりません。管理には詳細な水系区分け、堰堤の造成、水位の綿密なモニタリングなどが含まれ、該当地域が乾燥し、火災を起こす危険を未然に防ぎます。この地域はインドネシア環境林業省によって、植林可能泥炭地(FBEG)として分類されており、合法的に植林が可能な土地を特定する、最新の長期活動計画(RKU)によって承認されています。APPは保護対象泥炭地(FLEG)の泥炭ドーム頂上が保護され、植林開発プロセスにより脅かされないことを確実にします。

保護された自然林は伐採または開発されておらず、該当地域での植林は許可されていることを改めて明確に主張します。泥炭地域という性質上、EoFによって指摘された地域を含む全ての運用地域に、最善な泥炭地管理策が厳格に適用されています。

APPの森林保護方針(FCP)の誓約は変わりません。

 2013年にAPPの森林保護方針が策定されて以降、自然林がサプライチェーンに混入しないよう、サプライヤーのすべての活動をSERA(サプライヤー評価とリスクアセスメント)を通じてモニターしています。加えて、FCPは自然林の転換を明確に禁止しています。

これまでにヒューマン・エラーが発生していることは認識していますが、発生した事例は極めて少なく、それら事例についてはステークホルダー・アドバイザリー・フォーラムを通じて積極的に開示し、速やかに対処しています。

10年後の未来でも、私たちは2013年に宣誓した自然林転換ゼロの誓約を確実に保持し続けることを明言します。また誓約を継続し、更なる改善につながる建設的な批判であれば私たちは歓迎します。

私たちは残存するインドネシアの自然林の保護に向けた、EoFのたゆまぬ努力の姿勢に敬意を表します。しかしながら、前述の通り古いデータや、不完全または正確さに欠ける情報を使用した主張には同意し兼ねます。法的またはHCVの定義どちらにおいても、自然林が転換された事例はありません。その一方で私たちのサプライヤーは、伐採権保有地のHCV価値を高め、森林火災の脅威から脆弱な泥炭地を保護するために、あらゆる予防措置を講じています。

現在、APPは約60万haの保全林を保護し、これまでに3万ha以上の保全すべき泥炭地上の植林地を閉鎖しています。私たちのこういった活動は、自分たちの森林保護方針を信じ、地球全体、且つインドネシア国民に対する責務を認識し行われています。

これまでの10年間の努力、築いた信頼関係とその善意を蔑ろにし、森林保護方針以前の状態に戻るつもりは一切ありません。

 

メディアのお問い合わせについては、下記までご連絡をお願い致します:

エイピーピー・ジャパン株式会社
サステナビリティー・コーポレートコミュニケーション本部 山崎
Tel: 03-5795-0023
E-mail: sustainability@appj.co.jp



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